その4 組織の○○のエンジン
組織内で、なにを話してなにを行動しているかという内容の質の前に、組織プロセスの質が悪いと、意思疎通もうまくいかないのは簡単に想像できます。なんでも話せるような間柄でないと、建設的な話し合いや情報共有はできませんよね。
「学習する組織(ラーニング・オーガニゼーション)」を提唱したマサチューセッツ工科大学のピーター・センゲと共にいろいろな組織でファシリテーションを行ったダニエル・キムによる、簡単な図式を見ました。「関係性の質」→「思考の質」→「行動の質」→「結果の質」と来てまた最初の「関係性の質」に戻ります。
ぐるぐる回る歯車のようなエンジンのような、円を描く図です。
ダニエル・キムさんによると、この図を好循環にするにも悪循環にするにも、その組織次第だそうです。
自分の知らないところで発生する社内トラブル、事件や事故、天災による業績悪化、会社的に目指していた結果が出せなかったなどの時、私たちはどう考えがちでしょうか。自分の会社での出来事だったとしても自分が直接かかわったことでもなければ、自分には無関係だ、自分は真面目に働いているので関係ない…などとつい考えてしまうような気がします。
はい、これが組織のエンジン悪循環のスタートです。
トラブルの大小にかかわらず、発生したトラブルに当事者意識がなければ当然他の人に責任があると考えてしまいませんか?小さな会社であろうと、大きな会社であろうと、もし会社全体でお互いにそう考えていたとしたら…。少しゾッとしますが、ありえないことではない気がします。そしてこれが関係性の質の低下を指します。
そして、自分が正しくて他の人が間違っていると考えている同士で話をしたとして、その時相手の意見を素直に耳に入れることができるでしょうか。(思考の質の低下)
さらに、相手の意見を素直に耳に入れられない状態で、質の高い行動が取れるでしょうか?(行動の質の低下)
そして最後、結果の質の低下につながってきます。
こうなってくると、お互いの合意形成なんて不可能になりますね。
こわーい!
でも、ご安心ください。いったん悪循環にはまれば、「関係性の質」→「思考の質」→「行動の質」→「結果の質」、ぐるぐる回るごとにどんどん質が低下していきますが、もし、どこかのタイミングで4つのうちの質がひとつでも向上すれば、その次の質が向上するでしょう。そして次の質も。
まずは、気づくこと。そして、組織の成功のエンジンを作り上げるためにはまず自分から動いてみることが大事なポイントなのかなと、私なりに解釈しました。