東京にある共創型コンサルティング会社「かたちえ」が「仕事」も「暮らし」も持続可能な形で発展的に「楽しく充実させたい」と願う人たちに向けた学びの場づくりとして続いてきた活動を「一般社団法人いろはこ」とし受け継ぎ、mindmap/マインドマップ、Udemy、経営マインドマップ、構造思考、組織学習、学習する組織、システム思考、ストレングスファインダー、フォトリーディング、トップリーダー養成塾など様々な講座・ワークショップ・セミナー情報など、クリエイティブな個人と組織を創出していく手助けになるためのブログです。

トップリーダー養成塾(TL塾)7期OBインタビュー、今回は大学図書館で司書を務める中崎倫子さん(ニックネーム:りんちゃん)です。入塾前は前職の仕事で壁にぶつかり、自分の中で迷いが堂々巡りしているような状態だったという中崎さん。塾長・松岡克政(まつかつ)との出会いから入塾、塾での半年間を走り切った結果、自分のやりたいことを仕事でもプライベートでも取り入れて動き続けられるようになった中崎さんの軌跡は、仕事やプライべートで多少なりとも行き詰まりを感じている人たちを勇気づけてくれること、請け合いです。(聞き手:いろはこ運営事務局・木村麻紀)

原点回帰できた、塾長まつかつからの問いかけ
「仕事をやめるか、やめないか…。とにかく追い詰められていました」――。2019年夏の中崎さんは、そんな状態だったそうです。同じ頃、TL塾7期体験会の最終回「学びを再定義する」が開かれ、そこに中崎さんは参加してくれました。

体験会終了後、塾長のまつかつに当時の状況を打ち明けたところ、まつかつからこんな言葉を投げかけられます。

“手弁当、無給でもやりたいことって何だろう?”

中崎さんは当時、市場調査会社のアシスタントとして仕事をしていました。まつかつからのこの問いかけは、中崎さんを原点回帰の方向へと向かわせました。

「図書館かな、と思ったんです。実は以前に、図書館で仕事をしていたことがありました。研究職になりたかった時期もありました。私は本が大好き。お金のこと考えなかったら何をやるか?とまつかつさんが問いかけてくれたことで、お給料などを度外視して本当にやりたいことって何だろう?と考えることができ、そこである意味腹が括れたのかもしれません」

秋の気配が深まる頃には前職を辞し、大学図書館の司書職に転職。ほぼ同時にTL塾7期の半年間が始まりました。

TL塾VISION合宿終了後、マインドマップ用に大量のコピー用紙を受け取る中崎さん。このときはまだ、迷いのさなかにいました

「嫌われてもいい」、そしてやり切った先に出会った自分とは?

入塾直後の中崎さんは、マインドマップや15分読書術など、TL塾で重要スキルとしてお伝えしている思考力向上のためのツールが身につけばいいと考えていたそうです。TL塾でもう一つお伝えしているコーチングをはじめとする対話スキルに関しては苦手意識を持っていたそうで、塾の途中までは「実は苦痛でしたね(苦笑)。コーチングを教えていただいた頃は、自分の中ではまだしっくり来ていませんでした」と振り返ります。

それが徐々に変化したきっかけは、チームに分かれて一つのテーマを探求して発表するチームプレゼンテーションに向けたプロセスと、そこで一緒に取り組んだ塾仲間たちでした。

「チームの仲間にストレングス・ファインダーで『ポジティブ』の資質を持った人たちが多くて、彼らから影響を受けましたね。こんないい加減でいいのか!と(笑)」

「私はどうしても、きちんとしないといけないと考えてしまう。間違ったことを言ってはいけない、初対面の相手の機嫌を損ねてはいけないといったように、『~しなきゃいけない』ということに縛られていた自分に気づいたのです」

チーム発表を準備する中では、本音を言わないといけないと感じていたという中崎さん。その時「いいや、嫌われても!」と切り替えて、本音を伝えるようにしたところ、あることが分かったのだそうです。

「塾は言ってみればその場限り。だから、本音でコミュニケーションを取ることを試せる場でした。そこで本音、地を出してみたところ、意外なことにそのほうが人気が出たんですよ(笑)」

チーム発表に向けてメンバーと議論する際には、ストレングス・ファインダーが役立ったそうです。

「自分と他人の癖のようなものが分かって、対話を進めていく際にものすごく効きました。『ポジティブ』が多いチームメンバーからは、いろいろな意味で『良い加減』を教えてもらいました(笑)」

”良い加減”の仲間たちと!(右から2番目が中崎さん)

一人ひとりのリーダー性に気づけるのがTL塾

チーム発表の議論では、中崎さんはサポート役に徹し、チームでのミーティング日程の調整やミーティング内容の記録などを買って出ました。また、塾生OBサポーターによるオンライン対話会(フォローアップ)で得た情報やアドバイスなどを、チーム発表の議論にフィードバックするなど、時にチームでの議論をリードするような時も。こうした経験を通じて、自分自身のリーダー性、自分に合ったリーダーシップの発揮の仕方を発見できたと言います。

「サポーターのあさちゃん(1期生の浅沼信幸さん)が主宰するフォローアップ対話“サロン・ド・あさちゃん”がとても良かったです。チーム発表のテーマだったリーダーシップのあり方に関連して、サーバント・リーダーシップ*についてや、サーバント・リーダーシップについて書かれた『リーダーシップへの旅』(野口智義、金井壽宏著/光文社新書)を紹介してもらいました。自分のリーダーシップ性に気づくきっかけを与えてくれて、感謝しています」

*アメリカのロバート・グリーンリーフ博士が提唱したリーダーシップ哲学。「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考え方に基づき、部下に命令して動かす支配型リーダーシップに代わる新たなリーダーシップのあり方として注目された。

また、企業で管理職をしている同期のメンバーから話を聞くことで、中崎さんはリーダーシップについて抱いていたある種の“誤解”を解くこともできたそうです。

「なぜ管理職になったんですか?って聞いてみたんですよ。そうしたら、自分の好きなことやっていたら自然と声がかかった、と。私、リーダーになる人って人を押しのけて上がっていく人というイメージがあったのですが、リーダーになるまでのプロセスを誤解していましたね。こういうあり方でいいのだと思えました」

中崎さんはこの間、念願だった読書会の開催にも踏み出しました。自分が大好きな読書の楽しさを、他の人たちにも知ってほしい。自分ひとりで読む時には味わえない、知識や意見の融合が面白いという読書会。この場でも、中崎さんは自分が全面仕切って進めるのではなく、参加している人たちを主役にしながら進めることを意識しているそうです。

「これが私のスタイルですね。何より、やりたいからやっているんです」

今までの「私」を超えて、「やりたいからやる!」私へ

迎えた2月の最終成果発表会。TL塾を受講して気づいたこと、学んだことを発表した受講生が多かった中、中崎さんは塾の期間中に「取り組んだこと」「身に付いたこと」について具体的に発表していました。

1) 継続⼒
Noteを立ち上げて107⽇連続で投稿(2月9日時点)
塾卒業後も継続し、4月2日には160日継続。体調を崩し一時中断したものの投稿を再開、継続中
英語の多読(100万語)は、塾終了時点で29万6600語(達成率29.7%)、その後34万3000語まで達成

2) 実⾏⼒
自身の企画による初めての読書会を実施、5名が参加
個別開催のリクエストも頂く
読書会の実施に向けたプロジェクトマップを2種類書く

3) 対話⼒
塾⽣仲間の個⼈プレゼンの練習で、傾聴と分析を実施

4) リーダーシップ
いつのまにか、チーム発表に向けてサポート型のリーダーになっていた

表情は少し疲れていたようにも見えたものの、むしろそこに半年間全力でやり切った充実感のようなものがにじみ出ていました。

TL塾7期終了から2カ月、新型コロナウイルスの流行でさまざまな影響が個人にも社会にも及んでいます。そんな中でも、中崎さんは司書の仕事を続けながら、オンラインで早朝読書会を企画したり(朝5時半開始!読書会はこちら)、究極の夢の実現に向けて動き続けています。

「私設図書館を作りたくて、塾の期間中に私設図書館BOOXに10月から運営サポーターとして参加しました。若い仲間とやり取りしており、一緒に話をしていて楽しいです。会計や本屋大賞ノミネート作品、フランス文学の話など。マインドマップを描きながら読書をしていたら、興味をもってくれました」

「東京・五反田のこぢんまりとした図書館なのですが、具体的な場所を含めて検討してきましたが、4月の下旬に運営メンバーとミーティングして、新型コロナウイルスの影響でそれはいったんその場所から撤収することになって棚上げに。でも、運営メンバーたちと話して、図書館の新しい形、新しい可能性、つまり、オンライン図書館・電子図書館の可能性も考え始めていますよ。もしかしたら、オンラインのほうが場所にとらわれないからBOOXに賛同してくれる人はかえって多くなるかもしれない。逆境を『ポジティブ』に考える力は、塾を通して身についたのかもしれません」

TL塾では、仕事もプライベートも楽しく充実させるためのある法則を受講生の皆さんにお伝えしています。それは、

P=p-i

Performance<発揮される能力>=performance<持っている潜在能力>ーinterference<障害(妨害)>で表されるとお伝えしているこの法則。TL塾では、あなたにとって障害となっていることは何か、その障害はどのようにすれば小さく、あるいはなくすことができるかご一緒に考え、サポートしていきます。

現在の中崎さんからお話を伺っていると、i(障害)の部分は行き詰まりを感じていた以前の中崎さんご自身であるI(私)だったのではないかと感じます。そして、仲間との学びを通して気づきを得た今の中崎さんは、夢に向かって進み続ける力を得て、Performance<発揮される能力>をどんどん増やしているようです。

「動き続けようとするとき、仲間はとても大切だと気付きました。仲間と出会うことによって、自分の良さにも出会えて新鮮ですね」

行動が自信に、自信が行動に—―。

TL塾での半年間を経て中崎さんは今、このポジティブな循環の中にいます。

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