東京にある共創型コンサルティング会社「かたちえ」が「仕事」も「暮らし」も持続可能な形で発展的に「楽しく充実させたい」と願う人たちに向けた学びの場づくりとして続いてきた活動を「一般社団法人いろはこ」とし受け継ぎ、mindmap/マインドマップ、Udemy、経営マインドマップ、構造思考、組織学習、学習する組織、システム思考、ストレングスファインダー、フォトリーディング、トップリーダー養成塾など様々な講座・ワークショップ・セミナー情報など、クリエイティブな個人と組織を創出していく手助けになるためのブログです。

世界は、VUCA<不安定(Volatility)、不確実(Uncertainty)、複雑(Complexity)、曖昧(Ambiguity)>時代に入ったといわれます。

正解を見出しにくい状況の中で、私たちはどのように仕事や暮らしを充実させることができるでしょうか?
一人ひとりが充実した人生を送るために、個人と組織に何が必要なのか――。

私たちは、マインドマップをはじめとするツールを使って自ら動き続けられる人材を育てる半年間の個人向け研修「トップリーダー養成塾」(TL塾)を約7年間にわたって開催し、のべ約100人の卒業生を輩出してきました。

このたび、第7期の修了を記念してトークセッション「VUCA時代に求められるセルフリーダーシップとは?」(一般社団法人いろはこ・株式会社かたちえ共催)を開催。ゲストに(株)資生堂執行役員チーフレギュラトリーオフィサーの井上美香さん、古河電気工業(株)情報通信ソリューション統括部門ファイバ・ケーブル事業部門事業変革推進チーム長でTL塾フェローの大森隆史さん、真田KOA(株)技術センターバリスタ技術グループラインリーダーでTL塾4期生の石田直己さんをお迎えして、事業構造改革や人材育成に携わる現場での取り組みも交えながら、変化に富んだ正解のない時代における生き方と学び方をテーマにお話いただきました。

セルフリーダーシップとは「自分の心の声を聞けるようになること」

TL塾では、半年間かけてセルフリーダーシップを追求していきます。私たちが考えるセルフリーダーシップとは、心から実現したいと願うビジョンに向かって、主体的に動き続けられるための心持ちと手法を持ち合わせて他者と協働できること。トークセッションの冒頭では、(株)かたちえ代表取締役でTL塾塾長の松岡克政(まつかつ)より、TL塾の概要やカリキュラム(学習ツールやコミュニケーションツール)をご紹介しながら、TL塾は「何を変えるべき?(What)」「どうやって変える?(How)」「なぜ変える?(Why)」を追求できるテクニックを身につけるための土台をつくる場なのだというお話をさせていただきました。

TL塾塾長の松岡克政(まつかつ)はモデレーターを務めました

TL塾を修了したばかりの7期生が「TL塾とはこんな場」と説明しています

これを受けて、TL塾卒業生の立場から石田直己さんはTL塾を振り返りつつ、TL塾で身についたセルフリーダーシップについてこう定義してくれました。

「TL塾で学ぶ内容のどのような部分が響くかについては、個々人で異なるというお話がありましたが、僕は(一週間の取り組み方をマインドマップで描く)スケジュールマップによって大きく変わることができました」

「セルフリーダーシップとは、自分と対話できること。TL塾での学びを通して、昔の自分や世間の常識にとらわれない自分の声を聞けるようになりました」(石田直己さん)

TL塾OB(4期)の石田直己さん

これからは自分に投資する時代

TL塾フェローの大森さんはTL塾0期生として参加、修了以降も、ほぼ毎期にわたって受講生への激励やアドバイスのためにTL塾に関わり続けるとともに、外部のセミナー等に積極的に参加し続けています。さらに、自分の部下をTL塾に派遣し続けてもいます。精力的にセルフリーダーシップを発揮する大森さんは、なぜここまで学びにコミットするのでしょうか。

「社会人になってからゴルフをプロのコーチから習った経験を通じて、本物の学びは最高だと分かりました。その後、仕事のパフォーマンスが上がってくると、もうやめられなくなりました。自分に投資しないなんて、私にはできません」

「学びに投資して、成長や成果が得られれば学びに投資する。投資の循環ですね。かつての日本企業では、会社や事業の成長過程でこうした循環が存在していたのだと思いますが、今の時代はそうではありません。組織の外で自ら求めてこうした投資と成長の循環を作り出す必要があるのではないでしょうか」(大森隆史さん)

TL塾フェロー(0期)の大森隆史さん

自分であることを許可しよう!

(株)資生堂・執行役員の井上美香さんは、外資系化粧品メーカーで20年以上にわたって勤務し、最終的には研究所所長として部下250人を束ねるまでにキャリアを築き上げました。順風満帆に見えるキャリアを褒めてもらえたり、100%信頼してくれた上司の存在に感謝しつつも、管理職になってからは不安だらけの日々を送っていたのだそうです。そんな井上さんを変えたのは、偶然にもTL塾OBの石田さんと同じく「自分の心の声を聞く」でした。

「無理をしている自分に気づいたんですね。そんな時、まさに石田さんと同じように自分の心の声を聞き、自分であることに許可を出そう!と思えたのです。『自分にしかできないことは何だろうか?』と考えた時、帰国子女でも自分はグローバルとローカルのチームの両方から話を聞き、間に立って調整できるということに気が付いたのです。これを120%全力でやろう!と心に決めたら、すごく気持ちが楽になりました」(井上美香さん)

資生堂執行役員の井上美香さん

一人ひとりの価値観を尊重できているか?

3人のお話を聞いた後は、会場からの質問タイムです。

質問1:ここにいる人たちは学びへの意識も意欲も高い人たちだが、いわゆる”意識低い系”の人にはどう働きかけたらいいか?若い世代には、やりたいことがないように見える人もいる。(大手メーカー管理職)

大森:僕はそういう人を塾に連れてきました。塾では初回にビジョンを書いてもらうのですが、会社のお金で来ているのに家族のことばかり書いていました(笑)。でも、それが本気で取り組んだワークで彼が向き合った彼の価値観です。働く目的に目覚めて生きる目的とつながった時、彼のスイッチが入ったのです。今では、海外の工場で約30人の現地スタッフを束ねて頑張っていますよ。

井上:一人の人間として認めているか?一人ひとりの価値観を理解しているか?が問われていると思います。人間にはその人なりのロジックがあるので、否定してはいけません。私自身も、自分を一人の人間として認めてくれる人にしか心を開けませんでした。人格のある人間として見てくれた人の気持ちに応えたい――と思えるようになったものです。

この質問に対しては、2018年度のTL塾6期生として参加したOGが「私たち世代は、チームになって何かをやってみると、自分の良さや役割に気づくことが多い。個人への働きかけだけではなくチームワークを通すと、自分の能力を自覚して伸ばせるようになるのではないか?」と、示唆に富むヒントを示してくれました。

質問2:TL塾のお話を聞いていると、多様な人たちとの会話が為になっているのだろうと感じる。多様な場を経験した後、どのように変化していくのか。

石田:「抽象的な学びをどう活かすか」ということと捉えました。僕の場合ですが、いったん仕事で試してみるということを継続してます。今日引っ掛かったことを明日から自分のフィールドでどう活かすかを、これからも考えていきたい。

一人ひとりの人生を豊かにするための個人、組織のありようとは?

質問3:今はどこでも仕事ができる時代。そうした中で、チームや組織としての共通目標、共感性があるとエンゲージメントが高まってチームも組織も良くなると思うのだが。

井上:組織として何を実現しようとするかはとても大切だと思います。資生堂でも新しいビジョン「Beauty Innovations for a Better World」が打ち出されてから、世界中の社内でディスカッションが生まれ、アイディアを絞り出すようになりました。それは、この考えに対する、腹落ち、共感があるからだと思います。皆さんの組織にもビジョンがあれば、ビジョンを軸にディスカッションしてみてはいかがでしょうか?40代、50代の方にアイディアがなければ、若い人のアイディアを40、50代がサポートするという形を取ってもいいと思います。それは、それぞれの居場所をつくることにもつながります。

大森:自分の役割が組織のビジョンとつながることが必要だと思います。さらに、楽しい場であるということも大切。

石田:自分が好きなことは、変化の時代でも拠りどころになりますよね。それこそが、セルフリーダシップだと思います。

TL塾は、「自分」の潜在意識に触れながらビジョンを描き、マインドマップやストレングスファインダーといった良質な「ツール」を学びながら、日ごろはなかなか出会えない多様な仲間とともに成長できる「安心・安全の場」です。 いずれも、時代の変化に対応するために(変化対応)、自らの人生にオーナーシップを持ち(自分株式会社)、仲間とともに新しいモノ、コトを創造する(共創)ために必要な要素だと私たちは考えます。

ゲストの方々からは最後に、TL塾への期待とともにメッセージをいただきました。

「会社を含めて一人ひとりが自立してという時代。自分の声を聞くために、立ち止まる場として塾がある。このような場を仕事でももっと作っていきたい。これからも皆さんとともにストーリーを積み重ねていきたい」(大森隆史さん)

「私は外資系でのキャリアが長かったのですが、日本のために何かやりたいと思って、2016年に資生堂に入りました。1年後に部門長になり、責任範囲が広がって今は人材育成をやらせていただいていますが、日本企業は大変だなと思っています。皆さん滅私奉公しています。私は今年初め、部下の皆さんに仕事のことで本当に心からやりたいことを年始に書いてもらったのですが(妄想でもいい、名前は書いてもらう)、とにかく評価されたいという傾向が強いですね。そんなことを聞かれたことがない、と言われることが多いのにも驚きました」

「会社も、もっと主体的に、もっとプロアクティブ(能動的)にと言ってはいます。失敗してもいいからやってみる。一人ひとりの人生を豊かにするために組織があると思っているので、毎日やっているところです。自分一人でやっていると無力感を感じることもあります。そんな中で、イノベーションを起こし、突破するには『つながり』が必要です。今日は皆さんとお会いしたのが初めてではないという感覚を持ちましたので(笑)、これからも皆さんとつながっていきたいです」(井上美香さん)

セルフリーダーシップとは「自分であり続けること」「チームメンバーの居場所を作ること」などなど、ご参加の皆さんそれぞれに気づきがあり、それぞれの学びをお持ち帰りいただいたようです

今回スピーカーとしてお話くださった大森さんと石田さんのインタビューは、
下記の受講生インタビュー記事よりご覧いただけます。

⇒ トップリーダー養成塾、その他の受講生インタビュー記事はコチラ

トップリーダー養成塾改め、セルフリーダーシップ養成塾第8期は、2020年10月24、25日に開講します。セルフリーダーシップ養成塾の詳細については、こちらをご覧下さい。